『印度学仏教学研究』の
電子アーカイブ化に伴う
経過報告とお願い

『印度学仏教学研究』の電子アーカイブ化に伴う経過報告とお願い


曾て『印度学仏教学研究』にご論文を投稿された執筆者各位

 日本印度学仏教学会理事会は、2007年9月4日開催の理事会において、インターネット上で、過去の論文(『印度学仏教学研究』の創刊号(1952年)から100号(2003年)までに掲載された学術論文(論説・叢説・書評))を公開するために必要な著作権処理作業を行うことを決定し、そのための作業を進めて参りました。

 しかしながら、許諾を頂くべき論文数は10,044編を数え、また執筆者の延べ数も2,169人に上りました。可能な限りの努力を尽くしてきたのですが、残念なことに確認の取れた論文本数は7,071本に留まり、最後まで公開の承諾が取れない論文本数が3,000本以上も発生してしまいました。

 そこで理事会は、先行して電子アーカイブ化の作業を進めている日本法社会学会・日本法哲学会・法制史研究学会等の例に学びつつ慎重に審議を致しました結果、今回、以下の手順でこの問題を処理することに致しました。



 全体として原則と例外を裏返したような処理方法になりますが、総合的に考えた場合、これが著作権者の意志を最も一般的に実現する方法であるとの考えに至りました。

 そこで、かつて『印度学仏教学研究』に論文(論説・叢説・書評)を掲載された執筆者各位のうちで、まだ連絡を取れていない方に以下の対処をお願いいたします。


 

 それゆえ特段の拒否のご意志をお持ちでない方、或いはすでに積極的に許諾のご意志をご連絡いただけました方々は、今回は何もする必要はありません。どうぞ沈黙のご支持をお願いいたします。

 理事会としての希望は、勿論すべての掲載論文が電子化され広く世界の同学達によって永く閲覧参照されることにあります。執筆者各位のご理解とご支援を賜れれば幸いです。


 印度学仏教学会は近い将来、独立行政法人・科学技術振興機構が行う学術雑誌電子アーカイブ化事業の一環として、同機構が運営するWEBページJ-STAGE(https://www.jstage.jst.go.jp/)上において、『印度学仏教学研究』を無償で公開することを目指しております。

 『印度学仏教学研究』を創刊したのは半世紀近くも前のことですので、その中には既に逝去された方々や、現在の連絡先を学会側が掌握していない方々が多数含まれていました。そのような中、本学会では慎重に諸方面にご協力を求め、会員(既に非会員になられた方も含めて)の方に書面にて連絡をとり、亡くなった方には遺族の方に連絡を入れ、さらにご返信を頂けない方には改めて電話で確認を取るなど、慎重に作業を進めて参りました。

 具体的な作業は2007年度後半期より着手され、2009年度中に公開まで行き着く予定で作業を進めて参りました。なお、100号以降につきましては、第51巻1号に掲載された「論文掲載・利用に関する規則」によってすでに電子化・公開する権利を学会にも認めて頂いております。

 『印度学仏教学研究』は純粋の学術雑誌であり、そこに投稿下さった執筆者方々の本来的な意志が、本誌を通じて自己の学術的見解が広くまた永く世界の同学の士に伝えられることにあること、また今回の電子アーカイブ化事業がその願いをより強い仕方で実現しこそすれ、一切それを損なうものでないことは疑いを容れません。しかし他面、今回行うことが著作権法上に言う「複製」および「公衆送信」に該当する以上は、100号までは投稿時にその点への許諾を要件としてこなかった『印度学仏教学研究』のような雑誌においては、それ以前の論文の電子化への最終的な決定権は、なお個々の論文執筆者それぞれの手中にあることもまた言うを待ちません。執筆者がそれを拒絶する自由は、当然に尊重しなければなりません。このような了解のもとに、印度学仏教学会は執筆者の皆様に著作権の公開に関する権利を学会にも認めていただくべく各執筆者に連絡をとり、ご許可を頂くという作業を進めて参りました。

 さて、そうした場合、明示的なご同意が無いことを理由にそれらの方々の論文は今回の電子アーカイブの中には一切含めないとするのが果たして正しい(或いは執筆者の意向に沿う)処置なのかどうかが、大きな悩み所になりました。また公平の観点から見たとき、それらの方々の扱いと、容易に連絡が付く方々の扱いとを、どの程度の強弱で揃えるのが適当なのかという問題も考えなければならない視点となりました。このような内容の審議の結果、今回の方針が打ち出されましたことを申し添えます。


2009年9月8日

日本印度学仏教学会理事会